静岡大学大学院 情報学研究科 修士論文 ビデオゲームにおける
メディア特性
――物語性と主人公に着目して茂内克彦 (7003-0034)
2002年3月1日
指導教官:山本和明
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論文中に、茂内克彦以外が書いた書籍・雑誌や、ビデオゲームの内容(文章、画像)を引用している箇所がありますが、これは著作権法第三十二条にある
「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。」
という部分の「批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内」での引用にあたると考えております。また、引用や本文中での言及により、『エースコンバット04 シャッタードスカイ』、『エースコンバット3 エレクトロスフィア』、『ファイナルファンタジーVII』、『ヘラクレスの栄光III 神々の沈黙』、『かまいたちの夜』、『ポートピア連続殺人事件』、『ときめきメモリアル ドラマシリーズ vol.3 旅立ちの詩』等のソフトについて、いわゆる「ネタバレ」または「ネタバレ」寸前の記述があります。あらかじめご注意ください。
山本和明教授が指導教官ですが、結果的には赤尾晃一助教授の方がより多く論文に反映する指導をしてくださったと、個人的には考えております。
修士論文要旨 日本においてビデオゲームが一般の知るところとなったのは1978年発売の『スペースインベーダー』(タイトー、アーケードゲーム)からである。ビデオゲームはもっとも新しいメディアということができ、文学・映画・マンガなどと比べて、その歴史はきわめて浅い。しかし現在、ビデオゲームは他のあらゆるメディアの特性を吸収したため、その表現できる範囲は、他のいずれのメディアにも増して広い。
しかしながら、現状ではビデオゲームに関する研究が十分なされているとはいいがたい。たとえば心理学では、ビデオゲームのプレイヤーに対する悪影響に関する研究があるが、ビデオゲームのメディア特性に関してはまるで無関心であり、杜撰な研究が繰り返されている。ビデオゲームが人間に悪影響を与えるのであれば、ビデオゲームのどの部分が悪影響を与えるのかを検討すべきであるのだが、ビデオゲームの中身に関する研究、ビデオゲームのメディア特性を明らかにしようという研究は皆無に近いというのが現状である。そこで、ビデオゲームのメディア特性を明らかにするために、従来は主人公などと呼ばれてきたプレイヤーキャラクター(PC)というビデオゲーム特有の存在に関して検討したのが本研究である。
現在ほとんどのビデオゲームは物語性を有していることを示し、その観点から映画や小説などのメディアとの比較のために、ビデオゲーム独自の物語性がどのように展開されているかを示した。また、ビデオゲーム特有のいわば物語に参加するためのヒューマンインターフェイスとしてのPCに着目して、そのあり方と機能を検討した。それと並行して、現在流通しているビデオゲームは狭義のゲームであるとか、ビデオゲームはプレイヤーが主人公になるメディアであるとか、プレイヤーはPCにのみ感情移入するといった「常識」に対して反論を試みた。
映画のメディア特性を吸収したビデオゲームは、映画がそうであるように、プレイヤーはPCにのみ感情移入するわけではない。また、ビデオゲームの物語はPCの視点のみから語られなければならないわけでもない。ビデオゲームのプレイヤーは複眼的な視点を有するのである。その意味で、旧来からの「ビデオゲームはプレイヤーが主人公となるメディアである」といった短絡的解釈はもはや通用しない。
ビデオゲームがいかなるメディアであるのかを分析することは、心理学などの分野でビデオゲームの影響を研究する際などにも的確な研究手法をとるうえで基礎的事項となるはずであるし、CAIをより楽しく学習できるものとするとか、パソコンのアプリケーションのユーザビリティを向上させるなどにビデオゲームの特長を応用することにも繋がるはずである。ビデオゲーム研究の一層の発展を期待したい。
目次
序論……………………………………………………………………………………………………1
第1章 ビデオゲームとは何か………………………………………………………………………9
第1節 ビデオゲームにおけるインタラクティブ性……………………………………………9
第2節 ビデオゲームはゲームか…………………………………………………………………17
第2章 ビデオゲームと物語…………………………………………………………………………22
第1節 ビデオゲームの物語………………………………………………………………………22
第2節 アドベンチャーゲームとロールプレイングゲーム……………………………………24
第3節 アドベンチャーゲームの発達……………………………………………………………27
第4節 ロールプレイングゲームの発生と発達…………………………………………………33
第5節 ゲームへの物語性の導入…………………………………………………………………34
第3章 ビデオゲームの主人公………………………………………………………………………37
第1節 ビデオゲームにおける主人公と「あなた」……………………………………………37
第2節 プレイヤー・PC・主人公…………………………………………………………………34
第3節 複数のPC……………………………………………………………………………………45
第4節 PC顕在型・PC潜在型・PC不在型…………………………………………………………47
第5節 PCと主人公…………………………………………………………………………………51
第6節 超越者としてのプレイヤー………………………………………………………………52
第7節 PCの自由と主人公性の相克………………………………………………………………54
第8節 プレイヤーの登場人物への感情移入……………………………………………………59
第9節 複眼的視点を持つプレイヤー……………………………………………………………71
結論……………………………………………………………………………………………………84
引用ビデオゲーム……………………………………………………………………………………86
引用映画………………………………………………………………………………………………88
引用文献………………………………………………………………………………………………88
謝辞……………………………………………………………………………………………………93